ごめんなさい。めっちゃタイトル詐欺です。すいません。
今回の茶番は、少しだけ時間をさかのぼったところから始まる。
この日、Jakuは自分のプログラミング用ロゴを作ろうとしていた。
はぁ……。なかなかいいものが見つからねぇぜ。
パソコンの画面には、AIで生成されたロゴの候補がいくつも並んでいる。

うーん……。なんか違うんだよなぁ。
もう少しシンプルで、それでいてかっこいいやつが欲しいんだよ。
Jakuは検索条件を変え、何度も画像を生成し直した。
おっ! これはいいんじゃないか!?
数秒後。
……いや、やっぱり違うわ。
なんでだよ!! さっきは良いと思ったのに!!
AIに頼んでも、なんか惜しいんだよ!! なんか違うんだよ!!
気づけば、画面には似たようなロゴが大量に並んでいた。
もう何個生成したんだよ……。そろそろパソコンがかわいそうだろ。
しばらくして...

うぎゃぁぁぁぁぁ!!! 全然いいのが見つからない!!!!
Jakuは椅子にもたれかかり、天井を見上げた。
誰か助けてくれぇ……。
……っと、そのときだった。

私を呼んだ……?

は……?

こ、こんにちは……。
ぎゃあ!!! 不法侵入者!!! ココツ!! 警察!!!!!

違うから!!!!
じゃあ誰だよ!!!! なんでアニメにいそうなキャラクターがこんな現実の世界に来てるのさ!!

だってあなたが呼んだじゃん!!!
待て待て。意味が分からない。僕がいつ君を呼んだっていう証拠があるんだよ……。

えっ……。だって、さっきからずっと呼んでたじゃん。
いや、僕が呼んでたのは「誰か助けてくれぇ」っていう心の叫びであって……。
まさか本当に誰か来るとは思わないだろ!!!

えっ……。じゃあ、私じゃなかったの……?
そこを落ち込まれても困るんだけど!?
Jakuは頭を抱えながら、部屋の中を見回した。
部屋には散らかったポテチの袋、空のエナジードリンクの缶、積み上がった技術書……。
どう見ても「異世界からの来訪者を招き入れる」ような部屋ではない。
お、おいココツ! これは夢か!? それとも僕のAIがバグって新しい生命体でも作っちまったのか!?
しかし、ココツはここにはいなかった。
……あれ? ココツ?
そうだった! 今ココツってウサと買い物中だったんだ!!!
なんでこういうときに限っていないんだよ……。
頼れる相手がいないことに気づき、Jakuはさらに焦り始めた。
こういうときこそ、あいつの知識が必要なのに……。
いや、待てよ。そもそもココツに聞いたところで解決するのか?
あいつなら「興味深い現象ですね」とか言って観察し始めそうだな……。

あの……。
ん?

私、そんなに怪しい人じゃないよ……?
いや、突然人の部屋に現れた時点で十分怪しいんだけど。
そして訪問者――白と銀髪の少女は、真っ赤な顔をしながら叫んだ。

私はAIじゃない! 人間! ……たぶん! ……いや、多分じゃなくて絶対!
「たぶん」って言ったぁぁぁぁ!!! おしまいだ!! 僕は消される!!!!


ええ!! 見た目変わった!?!?
あ、すいません。嘘です。気にしないでください。

……。
……何その目。

いや……なんか、思っていた人と違うなって……。
初対面でそんなこと言われる!?
……はぁ。結局、君ってどこから来たんだよ……。

えっとですね……その、システム的な副作用で……えっと……。
何言ってんだこいつ。

ちょっと!! ちゃんと説明しようとしてるんだから!!
いや、説明になってないんだけど……。
そもそもシステムって何? パソコンの話?

うーん……。そういう意味でもあるし、そうじゃない意味でもあるというか……。
余計に分からなくなったんだけど。

私だって全部分かってるわけじゃないんだもん……。
自分のことなのに!?

えっと……私は葵(あおい)。覚えてよね!
葵……ね。
とりあえず名前は分かった。
じゃあ、次はどうしてここに来たのか説明してもらおうか。

その……ごめんなさい。勝手にここに来ちゃって……!!
うん! じゃあとりあえず、警察署に行こうか!

やめて!!!!!!!!!!! 本当にそれだけはやめて!!!!!!
いや、勝手に人の部屋に来たんだから仕方ないだろ!!

だから、ちゃんと事情があるんだってば!!
その事情をまだ聞いてないんだけど!?

……本当に、うまく説明できないの。
うーん……。
まあ、今すぐどうこうするつもりはないけどさ。
少なくとも、僕の部屋を勝手に歩き回るのはやめてくれよ。

う、うん。分かった……。
あと、その辺のポテチは食べてもいいけど、パソコンには触らないでね。

ポテチ食べていいの!?
そこに食いつくんだ……。
こうして、Jakuの部屋には謎の少女・葵が居座ることになった。
……で、これからどうすればいいんだよ。

それは……私にもよく分からなくて……。
おい!!!!

でも……少なくとも、ここに来たかったのは本当だよ。
……え?

ううん。なんでもない。
葵がどこから来たのか。そして、なぜJakuのもとに現れたのか。
その答えは、まだ誰にも分からない……。
ただ一つ確かなことは、Jakuの平穏な日常が少しずつ変わり始めているということだった。
……なんか、面倒なことになりそうだなぁ。

よろしくね、じゃく!
いや、まだよろしくするとは言ってないんだけど?
第三話、おしまい。